山岳保険・掛け捨て保険の紹介
※このページで掲載している保険料、補償額等は2017年5月12日時点のものです。
1.救助と保険について知っておこう
- Q1. 山岳保険って何?
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山岳保険の定義はありませんが、ここでは「登山中の怪我や、遭難救助にかかった費用を補償する保険」とします。
- Q2. 山岳保険に加入したほうがいいの?
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山に入るなら加入をおすすめします。理由は2つあります。
- 登山経験に関係なく、誰にでも遭難の可能性がある。
- 遭難時の救助費負担の軽減。
- Q3. 救助にかかった費用って遭難者が負担するの?無料じゃないの?
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状況によります。以下のどちらかであれば、救助費は税金でまかなわれます。
- 公的機関(警察・消防・自衛隊)のみが救助活動を行い、民間に協力要請をしなかった場合。
- 災害救助法が摘要された場合。
(例:2015年5月 口永良部島噴火、2014年9月 御嶽山噴火)
公的機関の要請により民間が出動した場合、民間の救助費は「原則として」遭難者や家族などの要請者が負担しなければなりません。
- Q4. 民間の救助費は、いくらぐらいになるの?
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ケースバイケースですが、数十万円は珍しくありません。民間ヘリが出動し捜索が長期間に及ぶと、もう一桁増える可能性があります。実際、多くの保険が救助費の補償上限額を100万~300万円に設定しています。
救助費の内訳は日当(人数×日数)、消耗品費、交通費、宿泊費、保険費、ヘリ運行費などです。特に民間ヘリは多額の費用が発生するため、要請者に出動確認をとることもあります。
- Q5. 救助費を補償する保険に入りたい。どうすればいい?
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手段として以下の3つがあります。
- 救助費補償に特化した保険に入る。
- 救助費も補償対象のレジャー保険などに入る。
- 旅行保険などに、自分で救助費補償の特約をつける。
便宜上、このページでは1の救助費補償に特化した保険を「特化型」、2・3のような救助費以外の補償もつく保険を「総合型」と呼ぶことにします。
特化型は総合型との併用が可能です。費用はかかりますが、お互いの弱い部分を補うことができます。
- Q6. 保険期間と保険料の目安は?
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期間、保険料のおおよその目安は以下の通りです。
保険タイプ 保険期間 保険料 救助費特化型 1年間 3,000円前後~5,000円 総合型 1日~数日 500円前後~数千円 1年間 3,000円前後~数万円
ここからは、特化型と総合型それぞれを簡単に紹介します。
2.救助費補償に特化した保険の解説
特化型は遭難救助の補償範囲が広く、安心度の高い保険と言えます。
特化型の長所
- 山での活動を幅広くカバーする。登山全般をはじめ、冬山雪山登山、沢登り、山スキー&スノーボード、トレイルランニング、ロッククライミング、マウンテンバイク、山菜採りなど。
- 登山の形態や用具の使用の有無を問わない。
- 道迷い、病気による遭難も補償対象。
※山岳遭難の原因トップは道迷いです。
特化型の短所
- 救助費以外の補償は一切ない(入・通院費、個人賠償など)。
- 支払いは年間一括のみ。登山1回ごとの支払いはできない。
特化型の注意点
- 国内の活動のみが対象です。
- 既往症、持病等は減額される可能性があります。
3.特化型保険の紹介
山での救助費用を幅広くカバーする山岳保険商品を紹介します。
日本費用補償少額短期保険(レスキュー費用保険)
入会金 | 無料 |
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保険料(年額) | 4,000円 |
救援者費用補償 | 300万円まで |
シンプルな登山保険
登山保険としては一般的な補償範囲で、シンプルな保険です。登山中の事故全般(滑落、転倒、転落など)のほか、道迷いや病気、落石、雪崩、落雷、悪天候など、遭難の原因を問わず補償します。保険料の払込の翌日午前0時から補償開始。
以前の年会費は5,000円でしたが、4,000円に値下げされました。
日本山岳協会山岳共済会
入会金 | 無料 |
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年会費 | 1,000円(18歳未満は500円) |
保険料(年額) | 2,400円~ |
救援者費用補償 | 100万円~500万円 |
複数の保険・プランを用意、補償範囲の確認を
山岳協会への加入が必要(年会費1,000円)。複数の保険商品・プランを用意していますが、上述の2団体の保険と比べると、登山保険の保険料としては少し高めです。登山用具の使用の有無などによって、補償範囲が異なるので注意してください。個人賠償、通院補償がつくプランもありますが、これらは一般的な傷害保険でカバーされていることが多いです。
トレラン(トレイルランニング)プラン、クライミングプランもあります。
4.総合型保険(レジャー保険、旅行保険)の解説
いわゆる「レジャー保険」「旅行保険」が総合型の保険になります。
総合型の長所
- 掛け捨て保険として使いやすい保険料。日帰り登山・ハイキング用にピッタリ。
- 救助費以外の補償もつく。
- 登山以外の活動(旅行、アウトドア活動など)にも摘要される保険が多い。
総合型の短所
- 病気による遭難は補償されない保険が多い(例:高山病、熱中症、疲労、靴擦れ、脳卒中、心不全など)。
総合型の注意点
総合型には注意すべきポイントが2つあります。
1.病気による遭難は補償されない
総合型保険の多くは、補償条件を「急激かつ偶然な外来の事故」としています。そのため、病気による遭難は補償されません。
2.活動内容によっては補償されない
ピッケル、アイゼン、ザイル、ハンマー等の登山用具を使用する、山岳登はんの行程中で発生した遭難については、ほとんどのレジャー保険で補償対象外です。
また、単に上記の登山用具を使わなければいい、というわけでもありません。
たとえ登山用具を使用しなくても、雪山登山、沢登り、山スキー、クライミングなどは補償されない可能性があります。
一方で、軽アイゼン(靴に装着するスパイク)を使っても、夏山で登山道を歩くのならば、補償範囲内とみなされる場合もあります。
自身の活動が補償対象かどうか心配なときは、事前に保険会社に確認することをおすすめします。
5.総合型保険の紹介
以下の2つに分けて紹介します。
- 救助費補償を含む保険
- 自分で救助費補償の特約をつける保険
1.救助費補償を含む保険
保険名 | 保険料 | 保険期間 | 救援者費用補償 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ドコモ ワンタイム保険 『スポーツ・レジャー保険(しっかり)』 | 590円 | 1泊2日まで | 200万円 | ※1 |
au損害保険 『旅行の保険(国内旅行)』 | 262円~ | 日帰り~ | 200万円~ | ※2 |
ソフトバンクかんたん保険 『スポーツ・レジャー保険』 | 300円~ | 1泊2日まで | 100万円~ | ※3 |
エイチ・エス損保 『国内旅行総合保険』 | 330円~ | 日帰り~ | 100万円 | ※4 |
木村総合保険事務所 『登山・ハイキングの保険』 | 3,000円 | 1年間 | 500万円 | ※5 |
Yahoo!ちょこっと保険 『山大好きプラン』 | 330円~ | 1ヶ月~ | 100万円~ | ※6 |
- ※1 申し込みは、iモードもしくはspモードに対応した端末からのみです。
- ※2 auだけでなく、ドコモやソフトバンクのスマートフォンからでも申込みできます。スマートフォン以外にもタブレット、パソコンからも可能です。
- ※3 ソフトバンクの3Gおよび4Gサービス契約が必要です。プリペイド契約では保険を利用できません。
- ※4 決済方法はクレジットカードのみです。
- ※5 複数年加入の割引があります。山岳登はん用の保険も扱っています。
- ※6 Yahoo!プレミアム会員のみ加入できます。プレミアム会員は月額料金が発生するため、会員でない方が保険目的で加入すると割高になります。
2.自分で特約をつける保険
以下の保険は、基本プランに救助費の補償がありません。救助費の補償は、「遭難捜索費用担保特約」などをつける必要があります。
損保会社 | 保険名 |
---|---|
東京海上日動火災保険 | 国内旅行総合保険 |
三井住友海上 | 国内旅行総合保険 |
富士火災海上保険 | 国内旅行傷害保険 |
損保ジャパン | 傷害総合保険 |
あいおいニッセイ同和損保 | 国内旅行傷害保険 |
モンベルの保険 | ||
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1~7日間の保険 | 1・3・5年の保険 | |
軽登山向け | 野あそび保険 | 野外活動保険 |
山岳登はん向け | 山行保険 | 山岳保険 |
6.最後に
山岳保険も他の保険と同じように、万人に合う保険はコレ、という結論は出せません。計画している活動と補償内容をよく検討して、納得できる保険を選んでください。
検討の際は、ご自身または家族が、既に同種の補償・特約等を契約していないか、必ず確認してください。補償内容が重複すると、保険料が無駄になる可能性があります。